「自分なら、まだやれる」
僕はずっと、そう思っていました。
疲れていても、予定を減らさない。
身体が休みたがっていても、もう少しだけ頑張る。
休む時間があるなら、少しでも前に進みたい。そんな気持ちが、どこかにあったのだと思います。
でも今、当時の自分に言葉をかけられるとしたら、伝えたいことは一つです。
「もう、休もう」
今回は、うつ病になる前に読んでいた西野精治さんの著書『スタンフォード式 最高の睡眠』を、現在の自分の経験と重ねながら振り返ってみます。
うつ病になる前に読んでいた一冊
僕がこの本を読んだのは、うつ病を経験する前でした。
当時から睡眠に興味があり、本を通して睡眠の大切さを学んでいました。
特に印象に残ったのが、「黄金の90分」という考え方です。
本書では、眠り始めの約90分に現れる深いノンレム睡眠が、その後の睡眠や翌日の状態を整えるうえで重要だと紹介されています。
長く眠ることだけを考えるのではなく、眠り始めの質にも目を向ける。
この考え方は、スポーツを続けてきた僕にとっても興味深いものでした。練習と同じように、睡眠にも質があるのだと知ったからです。
ただし、睡眠時間を削っても、最初の90分さえ整えればよいという意味ではありません。必要な睡眠時間を確保することを前提に、眠り始めの質も大切にする。そのように受け止める必要があると思います。
寝る90分前の入浴を試してみた
もう一つ印象に残ったのが、体温と入浴の関係です。
本書では、入浴によって身体の内部の温度である「深部体温」を一度上げ、その後、体温が下がっていく流れを利用する方法が紹介されています。
そこで僕も、寝る約90分前に入浴することを試しました。
実践してみると、以前よりも疲れが取れたように感じました。
もちろん、すべての人に同じ変化が起こるとは限りません。体調や生活環境によっても感じ方は異なると思います。
それでも僕にとっては、睡眠の前に身体を整えることの大切さを実感できた経験でした。
知っているだけでは、自分を守れなかった
僕はこの本を読み、睡眠や休養が大切だと知っていました。
それでも、その後の僕は頑張りすぎてしまいました。
大学4年時には、教育実習やサッカー、そのほかのさまざまな活動や挑戦が重なっていました。
疲れはピークに達していた。それでも予定を減らせませんでした。
「自分なら、まだやれる」
そう思っていたからです。限界を超えていることを認めるよりも、まだ頑張れる自分でいたかったのかもしれません。
睡眠についての知識を持っていることと、実際に自分のために休むことは違います。
どれだけ正しいことを知っていても、自分の疲れを認め、予定を手放し、休むという行動に移せなければ、自分を守れないことがあります。
今振り返ると、僕に足りなかったのは知識だけではありませんでした。「今は休むときだ」と認める勇気だったのだと思います。
うつ病を経験した今、思うこと
その後、僕はうつ病を経験し、約1年間療養しました。
うつ病の原因を、睡眠不足や頑張りすぎだけに決めつけることはできません。心身の不調には、環境やストレス、人間関係、身体的な状態など、さまざまな要因が関係すると考えられるからです。
ただ、少なくとも当時の僕が、睡眠と休養を後回しにしていたことは事実です。
身体と心がサインを出していても、予定を減らせなかった。
だからこそ今、当時の自分に伝えたいのです。
「もう十分頑張っている。今日は休もう」
頑張ることをやめろと言いたいわけではありません。夢を諦めろということでもありません。
むしろ、これからも長く挑戦していくために、一度立ち止まってほしいのです。
睡眠は、何もしなかった時間ではない
以前の僕は、睡眠を「一日の疲れを取る時間」として捉えていました。もちろん、それも大切な役割です。
しかし今は、睡眠を「明日の自分をつくる時間」だと考えるようになりました。
眠っている間は、活動をしていないように見えます。けれど、心と身体を整え、次の日を生きる準備をしている。そう考えれば、睡眠は決して無駄な時間ではありません。
休養は、挑戦の反対ではない。挑戦を長く続けるための土台です。
一日だけ無理をして前に進むよりも、心身を守りながら一歩ずつ進み続ける。その方が、結果的に遠くまで行けるのではないかと思います。
今の僕が実践していること
現在の僕は、頑張りすぎないために、予定そのものを減らすようにしています。そして、疲れを感じたときには、以前よりも早く寝るようにしています。
どちらも特別な方法ではありません。でも、以前の僕には難しいことでした。
予定を減らすことは、何かを諦めることではありません。今の自分にとって、本当に大切なものを選ぶことです。
早く寝ることも、怠けることではありません。翌日も自分らしく活動するための準備です。
寝る約90分前の入浴など、本書から学んだ方法も、自分の生活や体調に合わせながら取り入れていきたいと思います。
完璧な生活をつくろうとすると、それ自体が負担になるかもしれません。
だからこそ、疲れを感じたら予定を一つ減らす。いつもより少し早く布団に入る。まずは、そのくらいの小さな行動からでよいと思っています。
頑張りすぎている、すべての人へ
学生、社会人、アスリート、経営者、子育てをしている人。
それぞれ立場は違っても、「自分ならまだやれる」と頑張り続けている人は少なくないと思います。
もちろん、頑張ることが必要な時期もあります。
しかし、疲れがピークに達しているのに無理を続けることだけが、頑張るということではありません。
- 自分の限界を認めること
- 予定を減らすこと
- 誰かに任せること
- そして、眠ること
それらも、自分の人生を守るための大切な行動です。
僕の人生のテーマは、「人に寄り添い、夢への一歩を支える」ことです。
夢への一歩というと、前へ進む行動を想像するかもしれません。でも、ときには立ち止まることも、眠ることも、夢へ向かうための大切な一歩になります。
僕自身も、まだ完璧にできているわけではありません。気づけば予定を増やし、また頑張りすぎそうになることもあります。
そんなときは、自分に問いかけたいと思います。
「今、本当に必要なのは、もう一つ予定を入れることだろうか。それとも、しっかり眠ることだろうか」
頑張り続けるために、休む。夢を諦めないために、眠る。
『スタンフォード式 最高の睡眠』から学んだことを、今度は知識だけで終わらせず、自分を守る行動につなげていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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