今、僕はうつ病や精神疾患で悩んでいる方の相談を受けています。専門家ではありません。経験者として、ただ話を聴いています。
なぜそんなことをしているのか。その理由を書くには、僕自身が動けなくなった時期の話から始めなければいけません。
大学4年生の秋、朝が来ても起き上がれなくなった
僕は栃木県下野市で生まれ育ちました。小学3年生でサッカーを始めて、宇都宮短大附属高校ではインターハイ栃木県予選の優秀選手にも選ばれました。順天堂大学スポーツ健康科学部に進み、人生のほとんどをサッカーと一緒に歩いてきました。
その僕が、大学4年生のときにうつ病になりました。
何をしていても不安で、自分の将来がまったく見えませんでした。朝が来ても起き上がれない。楽しいと思えることが一つもない。体が思うように動かない。自分だけ時間が止まっているような感覚でした。
一番苦しかったのは、比べてしまうことだった
周りは就職先が決まっていく。サッカーを続けている仲間もいる。それぞれが夢に向かって進んでいく。
「どうして自分だけなんだろう。」
そればかり考えていました。
今になって思うのは、うつ病でつらいのは症状そのものだけではないということです。止まっている自分と、進んでいる周りを比べてしまう時間が、同じくらいしんどい。当時の僕は、そこから抜け出す方法をずっと探していました。
救ってくれたのは、正しい答えではなかった
あの時期に一番救われたのは、解決策を教えてくれる人ではありませんでした。
ただ最後まで話を聞いてくれた、家族や友人、先生の存在でした。
「それはつらかったね。」
「話してくれてありがとう。」
たったそれだけの言葉なのに、不思議と心が軽くなったことを今でも覚えています。
アドバイスをもらったわけでも、問題が解決したわけでもありません。それでも、安心して話せる場所があるというだけで、人は少しだけ前を向けるのだと知りました。
田んぼが、止まった時間を動かしてくれた
もう一つ、僕を助けてくれたのが農業です。
実家は栃木県下野市上古山と上三川町で田んぼをやっています。コシヒカリとあさひの夢。動けない日々の中で、僕は田んぼに出るようになりました。
特別なことは何もしていません。土に触れて、太陽の下で体を動かして、稲が育っていくのを毎日見ていただけです。
でも、そこで気づいたことがありました。
稲は、急かしても早く育ちません。水をやりすぎても、肥料を足しすぎてもだめで、時間をかけるしかない。それでも季節が来れば、ちゃんと実ります。
その当たり前を毎日見ているうちに、「時間がかかってもいいんだ」と少しずつ思えるようになりました。頭で理解したのではなく、田んぼで実感したという方が近いです。
回復は、直線ではなかった
誤解のないように書いておくと、ある日を境にすっきり治ったわけではありません。
良くなったと思ったらまた落ちる。動けた日の次の日に動けなくなる。その繰り返しでした。今も順天堂大学は休学中です。
ただ、上下しながらでも、長い目で見れば少しずつ戻っていきました。あの時期の自分に伝えられることがあるとすれば、「今日できた小さな一歩は、消えずに残る」ということだと思います。
だから今、僕は聴く側にいる
現在は「農業 × 教育 × サッカー」を軸に活動しています。にいみ農園で米をつくり、にいみ塾で学びを届け、オンラインサッカー塾IPPOでコーチをしています。
そしてもう一つ、うつ病や精神疾患で悩んでいる方の相談を受けています。
僕は医師でもカウンセラーでもないので、診断も治療もできません。できるのは、あのとき自分がしてもらったことを、今度は僕がすることだけです。
否定せずに最後まで聴くこと。「自分だけじゃなかった」と感じてもらうこと。必要なときには専門の窓口や医療機関を一緒に探すこと。
解決しなくても、まとまっていなくても大丈夫です。「うまく説明できない」まま来てもらって構いません。
焦らなくて、大丈夫です。稲が育つのに時間がかかるように、人の回復にも時間がかかります。
うつ病・精神疾患のご相談を受け付けています
オンライン対応・無料です。経験者としての対話であり、医療行為・専門的カウンセリングではありません。相談の内容や流れ、公的な相談窓口の一覧は下のページにまとめています。
この記事は個人の経験を書いたものであり、医学的な助言ではありません。治療中の方は主治医の方針を優先してください。今つらい状態にある方は、#いのちSOS(0120-061-338/24時間)やよりそいホットライン(0120-279-338/24時間)など、専門の窓口にご連絡ください。