僕はこれまで、「行動すること」をとても大切にしてきました。やりたいと思ったことには、できるだけ挑戦する。興味を持ったら、まず動いてみる。
実際に、AI講座、コミュニティ、イベント、コーチング、農業、教育、サッカー事業など、さまざまな活動に取り組んできました。
挑戦すること自体は、決して悪いことではありません。動いたからこそ出会えた人や、見えた景色もたくさんあります。
でも、あるとき気づきました。
「やりたいことを増やすこと」と、「実現したい未来に近づくこと」は、必ずしも同じではないのだと。
活動が増えるほどスケジュールは埋まり、休む時間がなくなっていきました。一生懸命動いているのに、自分が何を最優先にすべきなのか分からなくなることもありました。
そんな僕に、仕事や挑戦への向き合い方を改めて考えさせてくれたのが、高野秀敏さんの『ベンチャーの作法』でした。
友人が読んでいた一冊
この本を知ったきっかけは、友人の木下晴喜が読んでいたことです。
僕はもともと、ベンチャーに対して前向きなイメージを持っていました。若いうちから新規事業に関わり、自分で何かをつくる経験ができる。大きな組織では任されにくい仕事にも挑戦できる。そんな環境に魅力を感じていました。
一方で、僕の中には「挑戦していること自体が価値になる」という感覚もあったのだと思います。
もちろん、最初の一歩を踏み出すことは大切です。しかし、事業として人に価値を届け続けるためには、挑戦した数だけではなく、何を実現できたのかにも向き合わなければなりません。
この本を読みながら、僕は自分の活動を一つずつ振り返ることになりました。
最も心に残った「目標から逆算する」という考え方
本の中で特に心に残ったのは、目標から逆算し、成果につながる行動に集中するという考え方です。
僕には、やりたいことがたくさんあります。農業、教育、サッカーだけでなく、AI講座、コミュニティ、イベント、コーチングにも関心があります。どれも意味のある活動であり、誰かの役に立つ可能性があります。
しかし、時間も体力も無限ではありません。すべてを同じ強さで進めようとすれば、力が分散します。そして、どの活動でも十分な成果を出せないまま、忙しさだけが残る可能性があります。
大切なのは、「何ができるか」から考えることではなく、「どのような未来を実現したいのか」から逆算することでした。
僕が実現したいのは、農業・教育・サッカーを通して、誰もが自分らしく夢に挑戦できる社会をつくることです。
この目標から考えると、今の僕が力を注ぐべき領域は、農業・教育・サッカーの3つです。
やりたいことを全部捨てるわけではありません。今やることと、今はやらないことを決める。これは諦めではなく、本当に大切なものへ力を集中するための選択だと思っています。
目標から逆算して見えた、年2回の農業体験
では、農業・教育・サッカーを通して、最初にどのような成果をつくるのか。
僕がまず実現したいのは、農業体験と教育を組み合わせたイベントを、毎年2回継続して開催することです。
- 春には、田植え体験と、夢や目標を考えるワークを行う
- 秋には、稲刈り体験と、それまでの挑戦を振り返るワークを行う
春に田んぼへ苗を植えると同時に、自分の中にも「夢の種」を植える。そして秋には、稲の成長とともに、自分が挑戦してきた過程も振り返る。
農業体験を一日だけの思い出で終わらせず、子どもたちが自分の夢や成長を考える教育の機会にしたいと思っています。
最初から毎月開催しようとすれば、準備や運営に追われ、続かなくなるかもしれません。
まずは年2回。一つひとつの内容を改善しながら、毎年続けられる形をつくることを目標にします。
これが、目標から逆算して見えてきた、僕の具体的な一歩です。
一人で活躍するのではなく、チームで成果を出す
この本からは、一人で活躍するのではなく、周囲と連携して成果を出すことの大切さも学びました。
農業体験イベントも、僕一人では継続できません。家族、地域の農家、大学生、サッカー関係者。それぞれの経験や強みを持ち寄り、役割を分担する必要があります。
この考え方は、高校時代の経験ともつながっています。
僕は高校3年生のとき、約180名が所属するサッカー部でキャプテンを務めました。そのときに大切にしていたのは、部員全員とコミュニケーションを取ることです。自分と同じカテゴリーの選手だけでなく、違うカテゴリーの練習にも参加しました。
キャプテンが一方的に指示を出すだけでは、チームは一つになりません。相手がいる場所へ自分から行き、同じ時間を過ごし、話をする。その積み重ねによって関係が生まれ、少しずつ信頼につながっていきました。
事業やイベントでも同じだと思います。役割を渡すだけではなく、目標を共有する。相手の考えを聞き、困っていることがあれば一緒に考える。
成果を出せるチームをつくるためには、その前に信頼関係をつくる必要があります。
まず試したから、サッカーと教育がつながった
もう一つ心に残ったのが、失敗を恐れて止まるのではなく、小さく早く試し、結果を見ながら修正する姿勢です。
僕はサッカーに関わる中で、技術を教えるだけでは、子どもの成長を十分に支えられないと感じるようになりました。
サッカーでは、誰でも失敗します。シュートを外すこともあれば、パスミスをすることもあります。そのときに自分を否定し、その後のプレーまで消極的になってしまう子もいます。
だからこそ、技術指導だけでなく、目標設定、セルフトーク、振り返りといった心理面の教育も必要だと考えました。
- 失敗しても、自分自身を否定せず、次の挑戦に向かえること
- 自分で目標を決め、そのために必要な行動を考えられること
- 試合中に前向きな言葉を使い、自分だけでなく仲間も支えられること
サッカーが上手になることだけでなく、サッカーを通して人生における挑戦の仕方を学んでもらいたい。
実際に現場へ関わり、子どもたちについて考えたからこそ、サッカーと教育を組み合わせる必要性が見えてきました。
最初から完璧な正解を出すことはできません。まず小さく試し、相手の反応を見て、改善する。その繰り返しが、事業や教育の質を高めていくのだと思います。
成果を出している人から、素直に学ぶ
自分のやり方だけにこだわらず、すでに成果を出している人から学ぶことも大切にしたいと思っています。
僕が参考にしている一人が、BUDDICAの中野優作さんです。すぐに行動する姿勢。失敗しても挑戦を続ける姿勢。圧倒的に成長しようとする姿勢。お客様や仲間を大切にする考え方。自分の経験や考えを発信する力。そして、会社だけでなく、業界そのものを変えようとする経営者としての姿勢。
僕は、その一つひとつというより、それらを一貫して実践している姿勢全体から学んでいます。
植松努さんのTEDトークからは、「どうせ無理」という言葉をなくし、できる方法を考えることの大切さを学びました。
夢は、できると分かっていることではありません。できるか分からないからこそ、考え、試し、失敗から学ぶ価値があります。
そして、身近な存在である父(新見康之)からも多くを学んでいます。子どもや保護者に寄り添う姿勢。にいみ塾を長く続けてきた継続力。一人ひとりに合わせる教育。家族や周囲の人を支え、農業と教育に誠実に向き合う姿勢です。
行動して業界を変えようとする力。夢を否定しない考え方。目の前の一人に寄り添い続ける姿勢。
僕も3人の姿勢を自分の活動に取り入れながら、自分なりの形をつくっていきたいと思います。
結果を求めるためにこそ、休む時間をつくる
僕は、この本の「結果がすべて」という考え方に、特別な違和感はありませんでした。
事業として価値を届ける以上、「頑張りました」だけでは続きません。参加してくれた人に、どのような変化が生まれたのか。次も参加したいと思ってもらえたのか。必要な売上や利益を生み出せたのか。結果に向き合う必要があります。
一方で、僕自身はうつ病を経験しました。活動を増やし、予定を詰め込み、休む時間を十分に取れなかった時期もあります。
ただし、病気の原因を一つに決めつけることはできませんし、前向きに考えたり、行動したりするだけで治るものでもありません。動けないときには休むこと、治療を受けること、人に頼ることも必要です。
この経験があるからこそ、僕は「成果を出すこと」と「無理を続けること」を同じにしたくありません。
短期間だけ速く進めても、心身を崩して活動を続けられなくなれば、目指す未来には近づけません。
- 大切な活動を長く続けるために、やることへ優先順位をつける
- やらないことを決める
- 予定を入れない休養日をつくる
- 一人で抱え込まず、仲間に任せる
- 心身の変化を感じたら、予定を減らす
休むことも、長期的な成果から逆算した大切な判断だと思っています。
明日から実践する4つのこと
この本を読んで終わりにしないために、僕は次の4つを実践します。
- 農業・教育・サッカー以外の活動を、いったん整理する
- 毎朝、その日に最も重要な行動を一つ決める
- 毎週、「続けること・やめること・改善すること」を振り返る
- 週に1日は予定を入れない日をつくる
新しい行動を増やすためのルールではありません。本当に大切な行動へ力を集中し、挑戦を続けるためのルールです。
今日、未来につながる一つを選ぶ
やりたいことがたくさんあるのは、可能性があるということだと思います。
しかし、すべてを同時に進めようとすると、最も実現したかったことを見失う場合があります。
まず、実現したい目標を一つ、言葉にする。その目標から逆算して、今日やることを一つ決める。今抱えている活動の中から、やめることを一つ決める。そして、失敗を恐れず、小さく試してみる。
一人で抱え込まず、信頼できる人に相談することも、休む時間を予定として確保することも、目標へ向かうための大切な一歩です。
僕もまだ、できていないことばかりです。
それでも、ただ忙しく動くのではなく、自分が実現したい未来から逆算して、今日の一歩を選んでいきます。
農業・教育・サッカーを通して、誰もが自分らしく夢に挑戦できる社会をつくるために。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
話を聴かせてください
やることが増えすぎて動けなくなっている方、心身の不調で立ち止まっている方の相談を受け付けています。オンライン対応・無料。経験者としての対話であり、医療行為・専門的カウンセリングではありません。
この記事は個人の考えをまとめたものであり、医学的な助言ではありません。心身の不調が続く場合は医療機関にご相談ください。今つらい状態にある方は、#いのちSOS(0120-061-338/24時間)やよりそいホットライン(0120-279-338/24時間)など、専門の窓口にご連絡ください。